この記事をご覧のあなたは、マンション売却にあたって、少しでも良い条件で、かつできるだけ早く売りたいとお考えではありませんか?
一生のうちでそう何度もないマンション売却、できれば損をしたくありませんよね。
この記事では、
- 「すぐ売れるケース」と「なかなか売れないケース」
- 「大手の不動産業者」と「地元の不動産業者」
- 「一般媒介」と「専任媒介」
- 「ほぼ相場どおりの価格設定」と「相場より高めの価格設定」
- 「高く売る」と「早く売る」
- 「住みながら売却」と「引っ越してから売却」
- 「リフォームあり」と「リフォームなし」
- 値引きに「応じる」「応じない」
など、マンション売却におけるさまざまな局面で現れる選択肢を対比させ、解説していきます。
お読みいただければマンション売却のさまざまなシーンでの選択に役立つ情報を得ていただけるはずです。
目次
1.マンション売却の流れ
まずはマンション売却の流れを簡単にご紹介します。
- 情報収集
- 査定に出す
- 査定結果から検討する
- 不動産会社を選ぶ
- 売却価格を判断する
- 売却活動
- 購入希望者との交渉
- 売買契約を結ぶ
- 家を空ける
- 決済・引き渡し
- 確定申告
詳しくは下記記事をご覧ください。
◆【マンション売却】行動と金銭の流れを押さえてベストな計画を!
2.マンションが「売れやすい」「売れにくい」の違いはココ!
「売れやすいマンション」とはつまり「需要のあるマンション」ということです。
この章では、「売れにくいマンション」のチェックリストをご紹介します。
該当する項目が多いほど「売れにくいマンション」ということになります。
ご自分の住んでいたマンションには思い入れがある方も多いとは思いますが、ここはあえて客観的な評価を下してみましょう。
(1)マンション自体の要素
まずは、マンションそのものの要素が最も大きな要因です。
大まかに言うと、立地、築年数、建物・部屋の条件などの、物理的に変えようのない要素なので、売り主の努力ではどうにもならない部分です。
【チェックリスト】
□ | ①都心からのアクセスが良くない。 |
□ | ②駅から遠い。 |
□ | ③人気の高い沿線上ではない。 |
□ | ④公共施設や教育施設などの利便施設が充実していない。 |
□ | ⑤緑や公園・散歩道などが少なく、周辺環境が良くない。 |
□ | ⑥大手ゼネコンの物件ではない。 |
□ | ⑦外観やエントランスの雰囲気に高級感がない。 |
□ | ⑧築年数が古い。 |
□ | ⑨敷地面積(専有面積)が狭く、部屋数が少ない。 |
□ | ⑩建物のメンテナンスが行き届いていない。 |
□ | ⑪リビングルームが狭い。 |
□ | ⑫共有施設が充実していない。 |
(参考:スマイティ)
(2)それ以外の要素
こちらは、物件そのもの以外の売れにくい要素で、売り主の努力や買い主に対する説明次第では改善・対処が可能な要素です。
【チェックリスト】
□ | ①売出し価格が相場より高い |
□ | ②管理費・修繕積立金が割高に感じられる |
□ | ③同じマンション内に売り出し物件がある |
□ | ④不動産会社の質が良くない |
【改善・対処法】
- 売出し価格の設定は、そのマンションの物理的な売れやすさなどによって変わってくるでしょう。
もし3ヶ月経って売れなければ、価格が市場と合っていないと判断し、値下げに踏み切るという決断も必要かもしれません。 - 管理費・修繕積立金に関しては売り主の努力でどうにかなるものではありませんが、立地が良い、または賃貸物件を借りるよりも割安であるなど、何か優位性があればそこをアピールしたほうが良いでしょう。
- 同時期に出ている同じマンション内の売出し物件は、最も強力な競合相手です。
お互いが価格競争をして値下げを繰り返してしまうような悪循環はなるべく避け、競合物件より優位な点(間取り・条件・階数・状態の良さなど)をアピールする、売出し時期をずらす、などの対策をとってください。 - インターネットの不動産サイトに広告が載っていない、周辺にチラシが撒かれていない、担当者のスキル・やる気に問題がある、など不動産会社の対応に不満を感じる場合、媒介契約期間終了後に不動産会社を変える、あるいは契約形態を変更する(専任媒介契約→一般媒介契約あるいはその逆)などの対策をとりましょう。
また、一部の心ない業者が「囲い込み行為」を行っている場合もあります。
【囲い込み行為とは】 売り主から依頼された不動産会社が、仲介手数料を売り主・買い主双方から得るために他社の顧客に物件を紹介せず、自社の顧客の買い主に仲介をすること。 売り主が他の不動産会社から紹介されるかもしれない顧客と出会う機会を損失させる、背任行為であるといえる。 |
↓「囲い込み行為」に関して詳しくは下の記事をご参考ください。
【マンション査定】「高い査定額」=「高く売れる」ではない理由2.信頼できる不動産会社の見極め方(2)「囲い込み」を行う不動産会社には注意 |
◆ご自分のマンションが「売れやすい」のか「売れにくい」のか、だいたい見当をつけていただいたでしょうか?
以降の章ではさまざまなシーンで現れるさまざまな選択肢をご紹介し、「売れやすい」「売れにくい」ケースごとにどのような判断をしていくのがベストなのか解説していきます。
3.不動産会社選びは有利な売却活動の第一歩
(1)「大手」と「地元密着型」どちらを選ぶべき?
まずは「大手」「地元密着型」それぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。
【大手不動産会社のメリット・デメリット】
メリット | デメリット |
購入層の情報を多く持っているので有利 | 地域特性の理解は地元密着型より劣る |
大きく広告を打つことができる | その地域ならではの特殊な取引や、個別的な対応・値段の駆け引きに不向き |
買い主からの信頼が得やすい | 案件が多いので個別に力を入れてもらいづらい |
提携している専門家(税金・法律など)が多く、ワンストップのサービスが受けられる | |
全国に店舗を持っている |
【地域密着型不動産会社のメリット・デメリット】
メリット | デメリット |
その地域の特色・情報に詳しい | 大きく宣伝する力は持っていない |
確実性の高い、優良な買い主の情報を持っている可能性がある | 地域外への販売力が弱い |
対応が親身・親近感がある | 広い範囲での情報力は劣る |
【売れやすい・売れにくいケース別のお薦めは?】
「売れやすいケース」であれば、大手・地域密着型、どちらでも比較的買い手は見つかりやすいでしょう。
「売れにくいケース」は膨大な顧客数を持っている大手の方が安心かもしれません。ですが、地元の情報網も気になるところです。
どちらの不動産会社を選ぶにせよ、窓口の担当者の身なりや言葉遣いがきちんとしているか、誠実で優秀かどうかなどを見極めることが重要です。
不動産会社の選び方に関してはどのような媒介契約を結ぶとも密接に関連してくるので、引き続き下の(2)でも考察していきます。
(参考:イエイ)
(2)契約形態は「一般媒介」と「専任媒介」どちらがいいの?
【売れやすい・売れにくいケース別のお薦めは?】
「売れやすいケース」の場合、「一般媒介」を選べば不動産会社同士で成約を競う状況になり、より有利な条件で売却できる可能性があるかもしれませんし、「専属専任・専任媒介」を選べば、手厚く売却活動をフォローしてもらえるというメリットがあるので、どちらも甲乙付けがたいでしょう。
「売れにくいケース」の場合は、前の章で述べた「大手」と「地元密着型」の両方のメリットを享受するために複数の会社と契約が可能な「一般媒介」を選ぶ、という手があるでしょう。
※1〜3ヶ月程度様子を見てあまり成果が上がらない場合は、専任や専属専任に切り替えるという方法もあります。
【一般媒介契約とは】 複数の不動産会社に媒介を依頼することができる。指定流通機構(レインズ)への登録・販売活動の報告義務はない。自己発見取引可能。法令上期間の制限はない。 【専任媒介契約とは】 1社のみに媒介を依頼する契約。契約から7営業日以内にレインズへの登録義務・2週間に1回以上の販売活動の報告義務あり。自己発見取引可能。契約の有効期間は3ヶ月間。 【専属専任媒介契約とは】 最大の特徴は自己発見取引ができないこと。 契約から5営業日以内にレインズへの登録義務・1週間に1回以上の販売活動の報告義務あり。契約の有効期間は3ヶ月間。 |
4.売り出す際の4大お悩み、あなたならどうする?
(1)売り出し価格は「ほぼ相場」「相場より高め」どちらが良い?
【売れやすい・売れにくいケース別のお薦めは?】
「売れやすいケース」の価格設定テクニックとして、当初は相場よりあえて高めの価格で売り出し、買い主との交渉の中で相場程度に値下げをしてお得感を出す、という方法があります。
ただし、「売れにくいケース」でこの方法を使ってしまうと、購入希望者から敬遠されてしまい、買い手が付かないまま時間が経って鮮度が落ちてゆき、ますます売れない…という負のスパイラルに陥る可能性があります。
「売れにくいケース」では相場並みの価格からスタートするのが無難でしょう。
(2)「高く売る」と「早く売る」は両立できる?
誰しも、マンションを「高く」かつ「早く」売りたいと願っているでしょう。
ですがこの2つは、相反する場合があります。
なるべく高く売りたいからと、相場より高い価格をつけると、問い合わせも少なく、売れるのに時間がかかることになりかねませんし、結局値下げをすることになってしまい、「安く」「時間がかかって」売却、という残念な結果になる場合もあります。
【売れやすい・売れにくいケース別のお薦めは?】
「売れやすいケース」であれば、適正な価格を付ける、ということが「高く」と「早く」を両立させる一番の近道かもしれません。
ただ、購入希望者が「4月までにこの学区内で」など、時期やエリア限定で探している場合、売却物件が少ないシーズンや地域である場合は、「売れにくいケース」であっても、良い価格で売れることもあるでしょう。その時と場合の需要と供給のバランスによるところも大きいようです。
また、「売れにくいケース」の場合、仲介ではなく不動産会社の買い取りサービスを利用して、早く売るという手がありますが、その場合は相場の1〜3割程度、価格が安くなるようです。ただし、仲介手数料が無料というメリットもあります。
(3)「住みながら売却」と「引っ越してから売却」
マンション売却にあたって、多くの方の悩みどころが住みながら売却するのが良いのか、引っ越してから売却するのが良いのか、という点です。
一般的に、引っ越して空き家状態にしたマンションのほうが、売れやすいという意見が多いようです。
買い主にとっては、家具もなく、売り主に気兼ねもないことから、納得のいくまでチェックすることができますし、「すぐにでも住める」という印象を持つことが多いからです。
【売れやすい・売れにくいケース別のお薦めは?】
もっとも「売れやすいケース」であれば、人気の物件ということになりますから、売り主が居住中であっても、空き家でもどちらでも欲しい人にとってはあまり関係がないかもしれません。
そこで「売れにくいケース」であればあるほど、「引っ越してから」売却したほうが成約につながりやすいともいえます。
もちろん、住み替えの場合だと、売れるまでは賃貸物件に仮住まいしなければならないなどのデメリットもあるので、慎重に検討しましょう。
(4)「リフォームあり」と「リフォームなし」
たとえば、すぐにでも入居したい方であればリフォーム済みを好むでしょうし、そうでなくてもリフォームした方が見栄えが良くなり成約しやすくなるということもあるでしょう。
いっぽう、買ってから自分好みにリフォームしたいがために、あえて中古マンションを選ぶという方も少なからずいらっしゃいます。そういう方にとっては、リフォーム済みの物件は価格にリフォーム代が上乗せされてしまうと考え、敬遠さしがちになってしまうでしょう。
また、一言でリフォームと言っても、水回りや壁紙のみの取り替えから大規模な改装まで色々な方法があります。
【売れやすい・売れにくいケース別のお薦めは?】
「売れにくいケース」のうち、「築年数が古い」などの要因がある場合は、思い切ってリフォームをするというのも一つの手かもしれません。
いっぽう、「売れやすいケース」であれば、リフォームはあまり必要ないかもしれません。
(参考:suumo)
5.買い主からの値引き交渉「応じる?」「応じない?」
不動産取引においては、ほとんどの買い主が値引きありきで交渉に臨んでくるものと考えて間違いないでしょう。
当然ながら買い主側も予算の上限がありますし、できる限り安く買いたいと思っています。
買い主が、100万円の値引きを要求してきたとして、あっさり二つ返事で応じてしまうと、先方からは「最初から高めの価格設定だったみたいだな、もっと値引きできるかも?」「何か安くせざるを得ない原因があるのでは?」などと勘ぐられ足元を見られてしまう可能性があるので、ある程度の「駆け引き」を行うことも必要となってきます。
【売れやすい・売れにくいケース別のお薦めは?】
「売れやすいケース」では、値引き要求をやんわり交わしながら、何件かの買い主と折衝を重ねて様子を見ていくというやり方もあるでしょう。
「売れにくいケース」であれば値引きに難色を示してしまうと、たった1人かもしれない買い主を逃してしまう恐れもあります。
100万円の値引き要求であれば、例えば「当方としてもぎりぎりの価格設定ですのでこれ以上は勘弁して欲しいところですが、大変気に入って頂けたので30万円程度なら何とか…」などと応じて、お互いの落としどころを探っていくといった交渉の進め方もあります。
6.おわりに
ここまで、マンション売却の各ステップにおけるさまざまな選択肢と、「売れやすい」「売れにくいケース」別の対処法を解説してきましたがいかがだったでしょうか?
この記事が、さまざまな場面で分かれ道に立った時の道しるべになることができれば幸いです。