家の買い替えをしなければならなくなったとき、最も不安になるのはお金のこと。
再びローンを組むことになり、果たして新たなローンを組むことができるだろうか、ローンを組んだとしてもしっかり支払うことができるだろうか…。
そんな不安がつきいまとう方も多いはずです。この記事では住み替えの際に利用される「住み替えローン」について正しく知り、理想的な住み替えを行う準備をしていきましょう。
目次
1.住宅ローンの残債があっても借りれる【住み替えローン】とは?
「住み替えローン」とは、以前の住宅のためのローンと新しい住宅のためのローンを合わせたもののことです。以下、詳しくご説明します。
「住み替えローン」とは、文字通りそれまでの住宅を売るなどして手放し、新しい住宅を購入する人のためのローンです。前の住宅の残債やその住宅を売るためにかかる仲介手数料といった経費、そして新しい住宅を購入するためのローンを合算し、新たなローンとしてお金を借りることを言います。
前の住宅のためのお金 + 新しい住宅のためのお金 = 「住み替えローン」
・ローン残務 ・住宅ローン
・売却のための手数料
前の住宅は手放す前提ですので、財産として残るのは新しい住宅のみとなります。しかし、ローンについては実際の財産の価値以上の金額で組むことになるのです。
(1)住み替えローンの審査
住み替えローンのための審査は一般的な住宅ローンよりも厳しいものと考えられています。「実際の財産の価値以上の金額で組む」ということは、貸し付ける側にとっては返済が滞るリスクが大きくなるということだからです。
どういった条件を満たせば審査を通りローンを組むことができるのかは銀行によって異なりますが、おおよそ次のような要件になっています。
ア.年収
前年度税込年収が100万円以上、あるいは500万円以上など、提示されている金額に差があります。「安定した収入がある」といった表現であることもあります。勤続年数なども審査の対象です。融資可能な金額については「年収の何%以内」と定められているなど、年収は非常に重要な審査項目となります。
イ.年齢
多くは借入時の年齢が20歳から70歳未満、最終返済時の年齢が80歳、81歳となっています。
※5.(2)これから必要になるお金を把握しておくの内容も含めて考える必要があります。
ウ.ローンの返済状況
既に組まれている住宅ローンの返済が滞っていないかどうかの確認があります。正常に返済できている期間も条件とされている場合があり、現時点で問題なくとも、過去数年にさかのぼって返済の滞りがある場合は注意が必要です。
エ.団体保険(団体生命保険)に加入できること
オ.保証会社の保証を受けられること
これらの査定はインターネットでも気軽に受けることができます。まずはどの程度、住み替えローンを利用できる可能性があるのか、確認してみるのもよいでしょう。
2.住み替えローンを検討するなら売却タイミングも重要!
住み替えローンは、以前に組んだローンの残務すべてを返金する日と、新しく組んだ住み替えローンの融資日を同じにする必要があります。前の住まいの売却先と金額は確実に決まっていなければなりません。これを踏まえ、自宅売却のタイミングを3つのパターンに分類できることができます。
(1)売却先行の場合
売却価格にこだわりたい方には、「売却先行」のタイミングがおすすめ。
住宅がいくらで売れるか確定してから次の住宅や住み替えローンのことを考えることができるので、融資日の調整もし易いのが特徴です。
「いつまでに売却しなければならない」という売却の期限がないご家庭が当てはまります。ただし、もし仕事の事情などで引っ越しに期限がある場合、デメリットが非常に大きい場合があります。
【メリット】
- 資金計画を立てやすい
- 納得のいく金額で売れるまで売却を急ぐ必要がない
- 期限に追われなくて済むという精神的な負担が少ない
- 思うような金額で売れないのであれば、売却自体をやめることも可能
【デメリット】
- うまく売却のタイミングに合わせて次に住む家が見つからない可能性がある
- 引き渡し時期よっては、新しい住宅を探す期間が短くなることも
(2)購入先行の場合
欲しい物件が決まっており、今の住宅を売る前にその物件を購入しておく「購入先行」のパターンもあります。欲しい物件が急に見つかりどうしても手に入れたい場合などは、売るタイミングよりも買うタイミングを重視することになるでしょう。「どうしてもこの家が欲しい」と希望する住宅がある場合には、その住宅が他の人に購入されてしまう前に動く必要があり、購入先行がおすすめです。
【メリット】
- 欲しい物件をすぐに確保できる
【デメリット】
- 売却したお金を住宅購入の資金にする場合、売却を急ぐ必要がある
- 売却金額が確定しないため、住み替えローンの契約が難しくなる可能性がある
- 売却先を吟味できず納得のいく金額で売ることができない危険性がある
(3)同時進行の場合
売却の準備を進めつつ、新たな住宅を探し購入の準備も同時に行う「同時進行」のパターンは、最近多くの人々が選んでいるものと言えるでしょう。売りたいと考えたタイミングと、買いたいと思った住宅を見つけたタイミングが前後することは当然あり得ますが、「いつでも売れるように、あるいは買えるように」という両面の心構えで準備を進めていきます。
具体的には、売りたい・買いたいと考えた時点で、売却する住宅の不動産査定を開始する、新しい住宅を探し始める、というふたつの行動が必要です。
同時進行では、売却先行になった場合は(1)にてご説明したメリットとデメリット、購入先行になった場合には(2)にてご説明したメリットとデメリットが出てくるわけですが、計画としてはそれぞれの準備があるため、迅速に対応しやすく、心理的にも余裕が生まれます。
3.比較検討がキモ!住み替えローンの返済を軽くするために
新たなローンを組むことにより、現在のローン返済よりも金銭的な負担は大きくなります。確実に支払える金額であるか確認するためにも、支払額をきちんと把握することが重要です。以下の情報を揃えればシュミレーションが可能です。
(1)住宅ローンの残債を正確に把握する
まず、現時点での自宅のローン残債や売却額を把握しておきましょう。ローン残債を知るにはローンを組んでいる金融機関に依頼して「残高証明書」を取得する、インターネットで確認するなどの方法があります(この場合、各金融機関のホームページで個人のページにログインする必要があります。多くは事前の申し込み手続きなどが必要になりますので、確認しましょう)。
(2)自宅の売却額を把握する
自宅のより正確な売却額を知るには不動産会社に依頼し、査定をしてもらう必要があります。ですが、その前に複数の不動産に売却の見積もりが一括で依頼できるサイトを利用してみましょう。一度に複数の不動産会社の査定を受けることができます。
実際に不動産会社の査定を受ける際にも、事前に「だいたいどのくらいの査定額になるか」ということを把握しておくほうが、説明がスムーズに頭に入るでしょう。
サイトの例
イエウール
http://lp01.ieul.jp/pclp/0324/
スマイスター
http://www.sumaistar.com/sell/promo/ssflj911CrossPartners2/
マイスミEX
https://www.mysumi.jp/realestate_sell?utm_medium=aff&utm_source=linka
(3)住み替えローンの金利
住み替えローンの金利は住み替えローン独自に設定されているわけではなく、一般の住宅ローンの金利が適用されます。金融機関によって優遇条件、保証料、手数料が異なるので、金利の数字だけでなく最終的な支払金額はいくらになるのかということを考えて判断する必要があるものです。金利推移についてはインターネットなどで確認しましょう。
金利は金融機関によっても差がありますが、引き下げサービスなどの適用もあり、0.5%から1%前後となっています。突然大きく変動することはありませんが、変動があるものだということは忘れず、普段から金利を気にかけておくとよいかもしれません。
価格.com
住宅ローン金利比較
http://kakaku.com/housing-loan/rate.asp
住宅ローン金利比較口コミランキング
http://xn--nckgh0pybva6bdb7fy706bnfhgyfq54aoh8crw7gx7j.com/prospect/smbc.html
(4)住み替えローンの保証料
住宅ローンに保証料が必要であるように、住み替えローンでも「保証料」を支払う必要があります。保証料とは、もしローンをかけた人がローンの支払いをできなくなった場合、保証会社が代わってローンを支払うという仕組みのもとに支払うものです。
しかし、その後保証会社からローンをかけた人に対する請求があるため、契約者を守るものではなく、あくまでも金融会社のリスクをなくすものでしかありません。できるだけ保証料は安く抑えるべきだと考えましょう。
保証料は審査の結果によって異なりますが、よく見られるものに金利の0.2%上乗せというものがあります。また、保証料は0%でも十数万の事務手数料がつく金融機関や、金利上乗せに加えて事務手数料がつく金融機関など、さまざまです。ローンを借りようと考える金融会社に対し、きちんと確認を行うことが重要です。
(5)住み替えローンを行っている代表的な金融機関
住み替えローンを行っている代表的な金融機関をご紹介します。事前査定も可能なので、試してみましょう。
りそな住みかえローン:
http://www.resonabank.co.jp/kojin/jutaku/sumikae/
- 相談予約窓口の案内と、借り入れのシミュレーションが可能。
- 多くは電話予約となりますが、一部のローンプラザではインターネットでも予約できます。
みずほ買い替えローンのご案内:
http://www.mizuhobank.co.jp/loan/housing/housing_loan/replacement/index.html
- 簡単な事前審査や店頭での相談、相談会への参加予約が可能。
- 窓口の混雑状況もわかるため、特に忙しい方におすすめ。
横浜銀行住宅ローン(お住み替え)簡単事前審査
http://www.boy.co.jp/kojin/loan/karikae/
- ネットにおけるローンの事前審査が可能。
- 金利などがわかりやすく書いてあるため、参考にしやすくなっています。
4.住み替えローンで受けられる減税
住み替えローンを利用する際、減税や控除などで手元に戻る可能性のあるお金があります。
(1)住宅ローン減税
平成25年から平成31年6月の間に購入した住居のローンに対し、10年間、所得税から控除を受けることができるという制度です。所得税だけで控除しきれない場合には、住民税の一部が控除の対象となります。
なお、控除を受けるために必要な条件は、ローンの契約者本人が住む住居であること、住宅の床面積が50m2以上であること、現行の耐震基準を満たしていること(中古住宅の場合)といったもののほか、年収や借入の期間なども含まれます。
(2)減税額を計算できるサイト
どの程度減税されるかは、シミュレーションで計算することができます。最終的な金額は金融機関などの専門家に確認する必要がありますが、ある程度の概算は知っておきましょう。
スマイティ
住宅ローン控除(減税)シミュレーター
http://sumaity.com/mansion_new/loan/kouzyoSim/
価格.com
住宅ローン控除(減税)シミュレーション
http://kakaku.com/housing-loan/koujo_simulation.asp
(3)譲渡所得税に関する控除
住宅を売却した際、譲渡所得(住宅の購入額より売却額が大きかった場合の、いわゆる「利益」のこと)には「譲渡所得税」という税金がかかります。
その場合、「居住用財産の3000万円特別控除の特例」と「長期譲渡所得の特例」を受けることが可能です。ただし、これらを利用した後の5年間はこの控除を受けることができません。
(4)買い替え時の譲渡損失の繰越控除
住宅を売却した際、譲渡損失(住宅の購入額より売却額が小さかった場合の、いわゆる「損益」のこと)は、「買い替え時の譲渡損失の繰越控除」を受けることができます。なお、損失が大きい場合には、控除を3年間繰り越すことも可能です。
5.ローン負担を大きくしない!住み替えローンを利用する際の3つの注意点
住み替えローンを正しく理解し無理のない範囲での返済計画ができれば、後々ローンを支払えなくなる心配や住宅を手放すかもしれないといった不安もなくなります。
一方で、十分に配慮しなければローン破綻などの危険性もあるものです。この章では、住み替えローンを利用する際にどのような点に注意すべきかまとめました。
(1)借り過ぎと返済期間の延長は慎重に
やはり最も避けるべきは「ローン破綻」です。ローンの基本として、無理なく返せる範囲のものであるかを慎重に考える必要があります。利子や手数料を含めた月々の返済額や返済期間などが収入に見合ったものであるか、金融機関とも相談しながらシミュレーションしてみてください。
借りることができるからといって最大限に借りてしまうと、万が一収入が減ったり途絶えたりした場合などに対応することができず、経済的な負担から生活に支障が出る危険性もあります。ある程度の余裕を持ってローンを組むことが重要です。
(2)これから必要になるお金を把握しておく
住み替えローンは住宅を購入するためのローンですが、住宅ローンを組む際には住宅以外にかかるお金についても考えなければなりません。教育資金や老後費用など、住宅以外にも必要になる大きなお金はたくさんあります。出産、進学、転職など、ご家族全員のライフプランも想定してみましょう。
ライフプランでかかるお金を知る便利ツールもあります。
日本FP協会 便利ツールで家計をチェック
https://www.jafp.or.jp/know/fp/sheet/
(3)しっかり比較する
住み替えローンを利用できる金融機関は数多くあります。各金融機関が取り扱う商品の特徴は異なり、最終的な返済額も大きく異なります。
住み替えローンを組む前に複数の金融機関で見積もりを取り、きちんと比較することが大切です。また、複数の金融機関とやりとりすることでご自身の知識も構築され、より適切なローンを選ぶ目を養うこともできます。
おわりに
住み替えローンを利用することの第一歩は、住み替えに関係する金額をしっかり確定させていくことです。その中でももっとも重要なのが、売却する住まいの価値を知ること。
これにより、どの程度の住宅ローンを組むのか、新しい住居にかけられる金額はどの程度なのかを知り、実際に動くことができます。合わせて、ローン残務の確認も進めましょう。