家族と相談しよう!本当にダブルローンを今組むべきかどうかを判断する方法

ダブルローン
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長年マンション住まいであったが、妻と話し合い、家族の念願であった戸建てを購入することに。

現在住んでいる家は購入してからまだ1年しか経っていない。立地も良く、築浅のため、すぐに売れるだろうと、戸建ての購入を決意する。手付金を支払い後、マンションを売りに出したのは良いが、全く買い手つかない…このままだと念願であった戸建てを変えないばかりか、手付金までを捨てることとなってしまう。

何か良い方法がないかと模索した際、たまたま「ダブルローン」という言葉を目にする。

ダブルローンとは、現在あなたが住んでいる家のローンと新しい家のローンを合算し、毎月の返済を行う支払い方法のことを指します。

なんだ!売れなくてもローンがまとまれば、少し返済を増やしてもなんとかなりそうだと、安易にダブルローンを選択するのはやめましょう。

  • 月々の支払いが一気に増えることで、生活が大きく変わってしまう可能性がある
  • マンションがあなたの希望価格で売れる保証がない

など、ダブルローンを正しく知った上で、あなたに本当にダブルローンを行うべきかどうかを考えなければいけません。

この記事をご参考にしていただき、本当にダブルローンを組むべきかどうかの判断をつけましょう。

1.ダブルローンとは?借りる前におさえておきたい3つのポイント

ダブルローンとは、既にひとつ住宅を購入してローンを組んでいる人が、2件目の住宅を購入するためにローンを組むことを言います。「借り入れは二重、返済も二重」という状況に耐えうる人でなければ、なかなかお勧めできるものではありません。

たしかに、今まで住んでいたマンションが売れるまでの間のことではあるのですが、

  • 必ずしもマンションが売れるとは限らない
  • 売れるとしても、いつ売れるかわからない(ダブルローンの期間は想定できない)

という不安がつきまといます。

もちろん世間にはダブルローンを利用している人もいます。重要なのは、ご自身が将来に渡ってダブルローンに対応できるかどうかをしっかり考えた上で判断すること。そのためにも、ダブルローンとはどういったものなのかを十分に理解するようにしましょう。

(1)住宅ローンは2つ組めない?

実は、「ローン」は二重に組むことができても、「住宅ローン」は二重に組むことができません。住宅ローン以外の金利の高いローンを利用することになります。

【住宅ローンの特徴】

  • 自分が住む住宅を購入する目的で利用するローンのことである
  • 住宅に債務者が住むという条件のもと、低い金利を設定している
  • 2つの家に同時に住むという考え方はない
  • 2件目の家は「セカンドハウス」などの扱いになり、住宅ローンを利用できる条件にあてはまらない

 

以上が住宅ローンのルールです。ただし、金融機関によってはセカンドハウスに対してローンを組んでくれるプランがある場合もあります。また、お金さえあれば家は購入できるので、住宅ローンではないローンを組むという方法もあります。あくまでも純粋な「住宅ローン」を2つ組むことはできない、ということです。

【例外の住宅ローン】
なお、本人が住まなくとも、家族や親族が住めば利用できる住宅ローンもあります。◇『フラット35』
民間金融機関と住宅金融支援機構の提携による金融商品です。

  • 全期間固定金利住宅ローン
  • 金利変動に返済金額が影響されないため、長期間の返済計画が立てやすい
  • 金利は高め

という特徴があります。なお、本人が住まない場合、住宅ローン減税の対象にはならないため、注意が必要です。

(参考: 住宅金融支援機構 フラット35とは長期固定金利住宅ローン「フラット35」(機構買取型)

(2)ダブルローンとして組める2つのローン

住宅ローンでなければ、ローンを二重に組むことは可能です。

【住宅ローンと併せて組むことができる代表的なローン】

  • セカンドハウスローン
    自分が住まない家を購入するために組むことができるローン。ただし、「住宅ローンの特徴」でもふれたように、債務者が住む前提で低金利となるローンとは異なるため、一般的に金利は3~4倍高くなる。

    例:『みずほセカンドハウスローン』みずほ銀行が取り扱う商品です。
    使用用途に「ご本人またはご家族が利用するセカンドハウスの取得、新築・増改築・改装、底地の買取資金」が含まれており、住む目的でない住宅での利用も可能なことがわかります。
  • フリーローン
    利用目的を問わないローンで、「多目的ローン」とも呼ばれる。金利は金融機関によって異なるが、5~15%と高め。住宅などの金額が大きなものの購入に向いているとは言えない。

    例:『三井住友銀行フリーローン(有担保型)』なお、金融機関や商品によって、組めるローンは違います。また、金利については、金融機関のホームページなどを確認しても幅を持って表示されていることが多いので、具体的な金利についてはご自身の確認が必要です。

(3)ダブルローンの審査は通りにくい?

ローンの審査は「債務者がきちんとローンを返済できるか」という点になりますので、当然厳しくなります。「現在住んでいる家のローン審査も通りにくかった」という方、かつ、年収が増えていない人は、基本的には審査で通ることはないと考えたほうがいいかもしれません。

【ダブルローンで組む金額の考え方】
単純計算で考えます。返済総額は、ローンを組んだ年数、金利などで変わりますので、ご注意ください。
<ローンを組む人のローンの状況(例)>
・今の家を3000万円で購入。
・頭金を300万円支払い、2700万円のローンを組んだ。
・ローンは月々10万円返済。現在の残債が2500万円である。◇ダブルローンでローンを組もうと思っている金額
・隣町のマンションの購入を考えており、新たに3000万円のローンが必要。◇この場合、ダブルローンを組むために審査される金額
既存のローン残高の2500万円 + 新たなローン3000万円 の合計
→つまり、5500万円のローンの審査を通らなければならない

このように、新たなローン3000万円を返済できるかという審査ではなく、「既存のローンと新しいローンを合わせて返済できるか」という審査になります。ローン残高が少なければ少ないほど、審査は通りやすくなると言えるでしょう。

ただし、もし審査を通っても、

  • 住宅ローン減税の対象にならない
  • 新しいマンションにも管理費などがかかり、ローン以外の出費がある

といった点を考えなければなりません。

2.ダブルローンを勧めない2つの理由

ダブルローンについて説明してきましたが、結論から言えば「ダブルローンは住宅ローン以外を利用すれば可能であるが、決してお勧めできない」ということになります。どうして勧められないのか、2つの点にまとめました。

(1)銀行がダブルローンをNGにするほどリスクが高い

そもそも、銀行は「住宅ローン」を2つ組むことを認めていません。返済が難しくなることが簡単に想定できますし、銀行も債務者からの返済が滞ることは避けたいからです。銀行もそれだけリスクが高いものだと考えた上での対策が、「住宅ローンは1世帯に1つ」ということなのです。

ひとつめのローンを組むとき、他の借金がないかを確認したり、クレジットカードを減らしたりしたことがあったと思います。そのようにして融資できる「枠」を調整するのは、その人の返済能力を考えてのこと。返済ができなくなるリスクを少しでも減らすためです。

(2)返済比率ギリギリで借りるのでゆとりがなくなる

住宅ローンと他のローンを組み合わせたダブルローンでも、審査を通ることもあります。それは、銀行が審査の基準として設定している「返済比率」を下回っていたからだと考えられます。

返済比率とは、「単純に計算して年収のこれくらいの借金であれば融資しても大丈夫だと考えている割合」です。ですが、これをクリアしたからといって、債務者にとって「返しやすい金額」であるかというと、そうではありません。

逆に言えば、どんなに返しにくくてもこの比率より下であれば審査を通る可能性はあるということ。返済比率ぎりぎりで借りることになり、ゆとりのある返済は難しくなります。

【返済比率とは】

「返済負担率」とも呼ばれます。年収に対する「年間返済額」(元金に利息を含めたもの)の割合です。各金融機関は融資を可能とする返済比率の上限を設定しており、ローン審査の中でも重要なものとなっています。一般的には25~40%が多く、住宅ローン以外の借り入れも含めて計算されます。

 

3.ダブルローンを組む前に自分でやるべき5つのこと

さまざまな理由で家を住み替える人は多いものです。とてもよい物件があり、この機会をのがしたくないと思えば、「ダブルローンを組んででも住みたい」と思うのは当たり前のことです。

ただし、ダブルローンに対する見立てが甘く後悔するケースも大変多いため、慎重になる必要があることはよく理解しておかなければなりません。ローンを返済するのはご自身です。人任せにせず、自分でできることをやっておくことがとても大切なのだと考えましょう。

(1)家族と一緒に本当に借りるべきかどうかを考える

改めて冷静に考えてみましょう。今まで、新しい家に住むことだけを考えていなかったでしょうか。次のことを考えたかどうか、振り返ってみましょう。

  • ローン返済の具体的な金額はどれくらいだろう
  • 現在よりもローンの負担が重くなることで、どう生活が変化するのか
  • 家族や親族の声を実際に聞いたことがあるか
  • 想定外の支出がある場合はどうするのか
  • 働けなくなり、年収が減った場合はどうなるのか
  • 今後の困難を考えれば、手付金を諦めてももったいないということはないのではないか

現時点での自分の考えや状況、家族の声を把握する必要があります。具体的に書き出してみると、よりはっきりした形になるかもしれません。

(2)返済シミュレーションをする

返済については、十分なシミュレーションをすることが重要です。次のようなシミュレーションツールも利用してみましょう。どんなペースで返済をすることになるのか、何歳の時にどれくらいローンが残っているのかなども把握することができます。

  • 2~3ヶ月で売れた場合
  • 1~2年かかった場合
  • 3年以上かかった場合

など、さまざまなシミュレーションをしてみましょう。
「みずほ銀行ローンシミュレーション」
「住宅金融支援機構住宅ローンシミュレーション」

【キャッシュフロー表をつくってみよう】

なお、自分で「キャッシュフロー表」をつくることで、さらに自分のライフプランを反映させた収支を予測することができます。収入が増える年(減る年)、支出が増える年(減る年)を想定し、毎年の収支を具体的にしていくのです。そうすることで、「どれくらいの返済が可能か=どれくらいの借入額が妥当か」ということも把握できます。

こちらを参考にしてみてください。
参考:ひかリノベ キャッシュフロー表の作り方-簡単な3つのステップ

キャッシュフロー表をつくるには、まず、転職を考える年、子供が入学する年・卒業する年、車のローンを支払い終える年、奥様が働けるようになる年…など、ご自身でライフプランを具体的に考えてみる必要があります。

「まだわからないことが多くて難しい」というのは当然のことですが、そのような中で多額のお金を借りることのほうがもっと難しく、厳しいことかもしれません。これを機会にご夫婦で考えてみると、逆に今後の目標がはっきりするかもしれませんね。

(3)返済比率が20%超えたら諦める

人生には何が起きるかわかりません。ライフプランを考えてみるとわかりますが、今と同じだけの収入がずっと続くことが保証されているわけでもないのに、家族のためにたくさんのお金が必要になるときがあります。

また、ライフプランでは組み込めないことですが、なんらかの原因で仕事をやめたり、病気や怪我をしたりして、理想的なライフプランが崩れることもあります。

そのようなことがあってもローン返済をし続けるためには、返済額に「余裕」を持たせることが必要なのです。一般的には「返済比率の理想は20%」と言われています。銀行が設定する返済比率の最大は35~40%と言われていますので、ずいぶん差があることがわかります。

「安心して返せる住宅ローンは返済率15%以下」とする考えもあります。

返済率15%以下

(引用画像:AllAbout 年間返済率で変わる「使えるお金」年収500万円の場合

「返済比率が20%超えたら諦める!」くらいが、ローンとしては安全なものだということがわかります。

 

4.手付金は戻らない?確認しておきたい法律

「手付金」とは、マンションの購入申し込みを行い、その契約の成立の確認や確保のために支払われるお金です。なお、「申込金」と「手付金」は異なるので、注意してください。

【申込金】
売買契約に至る前に、買い主が「申し込む意思がある」ということを示すために支払うお金。そのため、契約が成立しなければ返金されるべきものです。もし契約が成立した場合には、そのまま「手付金」の一部となります【手付金】
契約が成立した、という証拠となるお金です。また、契約上「解約の為に必要なお金」という意味もあるため、この契約を解約する場合にはこのお金を手放さなければなりません。(参考:不動産情報サイト アットホーム 手付金等とは

契約書の内容にもよりますが、契約を成立させるために支払う手付金が返金される可能性は低いものと考えたほうがよさそうです。新しいマンションや手付金を諦めることに対して「もったいない」という気持ちがあるのも当然です。ですが、さらに先のことを考えれば決してもったいないということはないはず。「解約に必要なお金」と割り切ることも重要です。

 

おわりに

「住み家」は家族にとってとても大切なもの。よいマンションを手に入れたいと思うのはあたりまえのことです。ただし、新しいマンションのことを考えるあまり、「住み家のことが一番」になってしまっていないでしょうか。ぜひ振り返ってみていただきたいと思います。今の平穏な生活がなくなってしまうかもしれないという危機感こそ、重要だと考えましょう。 一番はあなたや家族が幸せに暮らすこと。ふたつのローンを借りることでその幸せが崩れてしまっては、元も子もないのです。

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