家を売るのであれば、家の価値ができるだけ評価され、予想していた以上の値段で売れたら嬉しいですよね。
いずれ今の家を売りたい思っているけど、家の価値がどのくらいなの。
築10年を過ぎると価値が急激に落ちると聞いたけど、今の家は売りに出しても大丈夫なのかな。
数多くのメディアで「家の価値が築10年でなくなる」という情報が多く流れていますが、一概に築何年で価値がゼロになるといった決まった年数はありません。
これはどういうことかと言うと、築年数が増えるにつれ、新築で家を買った時よりも劣化していきます。当然その分、家の価値はどんどんと下がっていく傾向がある、ということなのです。また、家の価値には、立地や間取りなど個別の要因も関係します。
今回はあなたが家を売りたいと思った時に、まずは確認しておきたい「家の価値」について詳しくご紹介していきます。ぜひご参考にしてください。
1.築何年で家の価値がゼロになるという決まりはない
冒頭でもお伝えした通り、築何年で家の価値がゼロになるという決まりはありません。
ただ築年数を追うごとに、その分、家の価値はどんどんと下がっていく傾向にあるのは事実です。
多くの場合、戸建住宅は下記のグラフからもわかるように築20~25年で建物評価がほぼゼロになることが多いです。それは、木造住宅の税法上の耐用年数が22年であることからきています。
新築当初からの価格の変化を具体的に示したのが、下のグラフです。
このモデルの場合、築25年の時に建物の価格はゼロになり、評価額は土地の価格のみとなります。
(引用: 八城地建 「中古住宅のメリット」)
これは一つの例であり、全ての家が築25年目に評価額がゼロになるわけではありませんが、建物の価値は購入直後から3年後までは急激に下がり、その後も緩やかに下がって築20~25年でほぼゼロとなることが分かると思います。
参考までに下記はその他の構造の法定耐用年数です。
- 鉄筋コンクリート(RC):47年
- 重量鉄骨:34年
一方、公益財団法人不動産流通推進センターが出している「家の価格査定マニュアル」によると、家の価値が10年でゼロになってしまう場合もあることが述べられており、実際、築10年で建物評価がゼロになってしまうケースもあります。
ただ、戸建住宅の価格には建物だけでなく土地も含まれています。土地の価格は相場による多少の上下はあるものの、年の経過によって継続的に下がっていくことはないので、たとえ建物の価値がゼロになっても土地代は保たれます。
また、築年数が経過していても、家や立地の魅力(日当たり・風通し・夜でも安心して出歩けるなど)が伝われば、あなたの家に価値を見出してくれる買い手に出会える可能性もあります。
2.【6つの事例から学ぶ】家の価値と築年数の関係
1章でもお分かり頂いた通り、家の価値には築年数が大きく関係してはいますが、もちろん関係する要素はそれだけではありません。
以下に実際の家の売却・購入のケースをいくつかご紹介します。これらの事例から、家の価値と築年数の関係について詳しくみていきましょう。
(1)築5年で購入額から1700万円下げて売却したケース
大都市郊外で土地60坪、3LDK、新築時約4,000万円の物件です。築4年の時に初めは2,700万円で売りに出されましたがすぐには売れず、徐々に価格を下げていきました。1年ほどして、2,300万円で売れました。周辺の戸建にしては間取りが悪かったようで、それがすぐに売れなかった原因の一つかもしれません。
(参考: e戸建て 「家を売却された方にご質問です」)
(2)築5年で購入時と同額で売却できたケース
主要駅まで3分、南と北に接道があり、整形地で日当たりが良い物件ですが、築5年にもかかわらず購入時と同額で売却できたケースです。売主さんによると、育ち盛りの子供がいたため壁紙や畳はボロボロ、お風呂も綺麗とは言いづらい状態だったようですが、立地の良さと、周囲にその立地の物件がなく希少価値があることも手伝って、好条件で売れたようです。
(参考: e戸建て 「家を売却された方にご質問です」)
(3)築6年で購入額から1,350万円下げて売却したケース
新築時3,000万円の物件を築6年で売りに出し、1,650万円で買い手が付きました。この方の場合購入時に諸経費などもまとめて借りたため、1,400万円のローンが残り、売却後も支払いを続ける必要がありました。
(参考: YOMIURI ONLINE 「発言小町」 )
(4)築15年・土地代のみで購入したケース
大手ハウスメーカー・木造築15年の物件ですが、建物評価は0円で、土地代のみで購入できました。内装や外装については築年数を考えると多少手を加える必要があるようです。この方の場合、水回りの入れ替えや間取りの変更等されました。
(参考: 教えて!goo 「築15年 中古戸建の価値」 )
(5)築21年で売却・築10年での購入時から900万円下げて売却したケース
首都圏で、築10年の中古住宅(戸建)を4,300万円で購入。11年住み、築21年になったところで売りに出しました。査定は3,200万円でしたが3,400万円で売れました。
(参考: e戸建て 「自宅戸建を売却しての疑問」 )
(6)築30年で購入・土地代のみで購入したケース
この方は築30年の家が建っている土地を、土地だけの値段で購入しました。築30年ともなると、もはや中古住宅というよりも、「古家ありの土地」とみなされます。場所と土地の形状が良かったので、決めたようです。
(参考: e戸建て 「買い替えのため家の売却中ですが・・・」)
築年数が進むにつれ、家の価値はゼロに近づいていくという傾向があることは分かったと思いますが、実際、築何年目にゼロになるのでしょうか?続く部分では、築年数が経つとどのくらい価値が下落するのか、推移を含めてご紹介します。
3.あなたの家はいくらで売れる?家の価値を調べる方法
戸建住宅の価格は土地と建物の合計なので、土地と建物を分けて考えると分かりやすくなります。一口に「土地の価格」と言っても、時価(実勢価格)、公示地価(公示価格)、相続税評価額(路線価)、固定資産税評価額の4つの価格があります。
- 時価(実勢価格) : 実際に取引された価格
- 公示地価(公示価格): 国土交通省が毎年3月に公示する価格。土地価格の相場を知るためには比較的精度が高いが、全ての地点で評価が公示されている訳ではない
- 相続税評価額(路線価): 相続税や贈与税の計算をするための基準となる価格で、道路(=路線)に面する宅地1㎡あたりの評価額が、国税庁によって毎年8月に公表される
- 固定資産税評価額:固定資産税の計算をするための基準となる評価額
(参考: HOME’S 「不動産用語集」)
※この記事で「家の価値・土地の価値」という場合、「時価(実勢価格)」を指します。
(1)まずは周辺の相場を把握する
不動産会社に行く前に、まず売りたい家周辺の相場を自分なりに把握しておく(相場観を持つ)ことは大切です。そうすることによって、後で不動産会社の話を聞くにしても疑問点などを質問しやすくなります。また不動産会社は物件を査定するなどして、売り出し価格をいくらにするかをアドバイスしてくれますが、最終的に売り出し価格を決めるのは売り主自身なので、そのためにも周辺の相場を把握しておくのは大切です。周辺の相場を把握するための2つの方法をご紹介します。
参考:不動産ジャパン「不動産基礎知識:売るときに知っておきたいこと」
ア.不動産情報ポータルサイトでおおよその相場を把握
売却したい物件周辺の売り出し価格を調べるには、まずは不動産情報ポータルサイトの「買う」情報を参考にするとよいでしょう。周辺の似通った物件がいくらで売り出されているのか、おおよその相場を把握できます。
主な不動産情報ポータルサイト
※不動産情報ポータルサイトに出ている価格はあくまでも売り出し価格であって、実際に取引が成立した価格(時価=実勢価格)ではないことに留意してください。
イ.実際に行われた取引価格を把握するには
実際に売買が行われた物件の価格(成約価格)の取引情報を検索することができるシステムがあります。
- REINS(レインズ)
国土交通大臣指定の不動産流通機構が運営・管理している不動産流通標準情報システム - 土地総合情報システム
不動産の取引価格、地価公示・都道府県地価調査の価格を検索できる国土交通省のWEBサイト
(2)自分の家の価値を知るには
売りたい家周辺の相場が大体把握できたら、今度は自分の家の価値を調べてみましょう。最終的な売却価格は取引が成立するまでは分からないということを踏まえておく必要があります。なぜなら、家の価値は立地条件や物件自体の特徴(これを一般に「個別性」といいます)・取引時期・売り主と買い主の希望など、様々な要因で変動するからです。
自分の家の価値を知るためには不動産会社に価格査定を依頼することになりますが、そのための方法が2つあります。
ア.不動産一括査定サイトを利用する
不動産一括査定サイトとは、窓口となっている1つのサイトで物件の情報を入力し送信すると、複数の不動産会社から査定価格が届く仕組みです。マンション・戸建・土地など幅広い不動産の査定を行うことができます。
【不動産一括査定サイトのメリット】
- ウェブサイト上の入力フォームに必要事項を入力し送信すると複数の会社から査定価格の情報を得られるので、時間短縮になる
- 登録されている不動産会社の中から、査定を依頼したい会社を選ぶことができる。すでに相談済みの会社や、自分に合っていなさそうな会社を除いて依頼できるので便利
【不動産一括査定サイトのデメリット】
- 多くの会社を選択した場合、大量の電話やメールが来て煩わしいことがある
- 選択肢が多すぎて、かえって迷ってしまう
- 一括査定サイトに登録されているのは比較的大手の不動産会社が多く、知名度が低くても良心的な会社や、地元密着の優良会社からの査定が得られないことがある
【主な不動産一括査定サイト】
一括査定サイトを利用することで売れる価格の大体のめどをつけることができますが、より正確な査定価格を知るためには、担当者が実際に物件を見て査定することが必要です。一括査定サイトを通して査定を依頼した業者は、次のステップとして訪問査定を申し出てきます。全ての業者に訪問してもらうのがスケジュール的に難しければ、その中からいくつか選んで来てもらうことになります。その際には単に一番高い査定を出した業者を選ぶのではなく、その査定を出した根拠や、対応は信頼できそうなものかなどに注目して業者を選びましょう。
(参考:All About 住宅・不動産 「不動産売却『一括査定』の仕組みと使い方」)
イ.不動産業者に足を運ぶ
不動産一括査定サイトのデメリットでも触れたように、サイトに登録されていない地元の優良不動産業者もあるので、地域の業者に実際に足を運んで相談し、納得の行く業者選びをすることも重要です。不動産業者によっては得意な地域や物件が異なるので、複数の業者で相談するとより確実になります。
複数業者に査定を依頼した場合、査定価格に差が生じることがありますが、査定価格=売却価格ではないので、高い査定価格を提示したところが必ずしも良い業者とは限りません。中には売却の仲介依頼を受けたいがために、妥当な査定に色をつけた価格を提示してくる業者もいます。高過ぎる売り出し価格を設定して長期間売れなくなることや、逆に低過ぎる価格で売却して後で後悔するといったことを避けるためにも、どのような根拠で査定価格を導き出したのか、しっかりと確認しましょう。
(参考: 不動産ジャパン 「不動産基礎知識:売るときに知っておきたいこと」 )
4.おわりに
家の価値と築年数の関係や、家の価値を調べる方法などを解説してきましたが、いかがだったでしょうか。
いずれ家を売るのであれば、自分の家の価値ができるだけ高く評価されたら嬉しいですよね。普段からちょっとした手入れや掃除をまめに行うようにして、できるだけ壁や床、水回りなどを綺麗に保つことも、家の価値を損なわないことにつながります。少しでもあなたの家の価値が高く評価されることを願っています。