一戸建ての売却を考えている方にとって1番の気がかりは、「いくらで売れるのか?」ということではないでしょうか。
- 売れる価格の見通しが立たないと売却するかも決まらない
- 売れる価格がわかってから不動産会社に相談をしたい
という方も多いと思います。一戸建てを売却しようと考えている人にとって価格はとても重要なポイントです。
この記事では、一戸建ての売却によるお金の疑問や不安を解消します。また、売却を成功させるために絶対に知っておきたい情報をまとめています。
この記事を読めば、これからの売却活動に専念することができます。
1.【一戸建て売却】査定をする前に知っておきたい4つの特徴
家を購入するとき、「一戸建てか、それともマンションか」というテーマがよくあがると思います。では、売却するときはどうでしょうか。一戸建てとマンションでは何か違いがあるのでしょうか。
ここでは、一戸建てを売却するときの4つの特徴を紹介します。
(1)一戸建ては価値が下がりやすい
このグラフは、住宅の市場価値が経年によってどのように変化するかを表しています。
ここでは減価償却年数を参考にしています。
【減価償却年数】とは・・・住宅を新築で買ったときの価値がゼロになるまでに何年かかるか、という考え方。 |
(参考:国土交通省)
一戸建てもマンションも経年によって価値が下がるのは同じですが、一戸建ての方が下がりやすいことがわかります。
(ア)約20年で価値がゼロに
先ほどのグラフから、一戸建ては築20年で市場価値がほぼゼロになります。その一方、マンションは築20年でも価値が残っています。
この差は、建物の「構造」による違いです。一般的に戸建てに多い木造は22年、マンションに多い鉄筋コンクリート造は47年で価値がゼロになると考えられています。
(イ)土地の価値は残る
一戸建ては、建物と土地は分けて評価します。建物の価値は約20年でゼロになりますが、土地は経年や使用によって傷まないと考えられ、土地としての価値が残ります。
一戸建ての売却には、価値の残る土地が大きく影響することになります。
(2)一戸建ては売却しにくい
このグラフは、一戸建てとマンションの流通量の変化を表しています。中古住宅全体の流通は年々増えていますが、一戸建ての流通量はほとんど変わりません。
また、近年では一戸建てよりマンションの流通量の方が多くなっていることがわかります。
(参考:住宅総研オリジナル消費者調査)
その理由は、一戸建ては「個別性」が高いことが挙げられます。建物が売主の好みであること、土地の境界や私道利用などの近隣周辺の問題があり、マンションに比べて物件としての個性が強くなります。そのため、買手がためらい、なかなか売れない、売るまでに時間がかかるという傾向があります。
(3)注文住宅と建売住宅はどちらが売れる?
注文住宅と建売住宅の売れ方には大きな差はありません。しかし、ここにも「個別性」が大きく関係します。
特に注文住宅の場合です。売主の趣味や好み、生活に直接関係のないものが前面に出でいる家の場合は、その価値が認められない場合やマイナスの評価を受けてしまうことさえあります。逆に、誰からも好まれるシンプルな間取りやデザインであれば売れやすくなります。
よく、「この家の本当の良さをわかってくれる人に売りたい」という売主もいますが、その気持ちが売却をより難しいものにしてしまうことがあります。
(4)一戸建ては価格決定が難しい
一戸建てを売却する場合、売り出し価格は最終的に売主が決めます。価格は売却できるかどうかを決める大きなポイントですが、その決定は簡単なものではありません。
マンションは「画一的」なため価格が安定しやすくなります。例えば、マンションは比較的交通の便が良い、大手建設会社が建設している、間取りやデザインが似ているなどの特徴があります。そのため類似物件も多く、比較しやすいので価格が決めやすくなります。
一方、一戸建ては土地も建物も「個別性」があるため、比較がしにくく、価格を決めるのが難しくなります。特に土地は価格に大きく影響するので、慎重に価格を決める必要があります。
2.【一戸建て売却】適正価格を知るベストな方法
「自分の家はいくらで売れるんだろう?」と心配になりますよね。ここでは、一戸建ての適正な価格を知るための方法を紹介します。
(1)一戸建ての査定額を算定する方法
住宅の査定額は3つの方法によって算定されます。
- 原価法
- 取引事例比較法
- 収益還元法
一戸建ては、一般的に「土地」と「建物」に分け、それぞれ下記の方法で算定します。
算定方法 | 算定内容 | |
土地 | 取引事例比較法 | 査定地と似た土地を選び、周辺環境や土地の条件を比較して算定する方法 |
建物 | 原価法 | 新築時の価格をもとに、築年数や管理状況によりマイナス面を差し引いて算定する方法 |
一戸建ては一つとして同じ物件がなく、同じ算定方法であっても査定する人によって評価が変わるため、算定額にバラつきが出ます。
(2)自分で相場を調べる2つの方法
不動産会社に査定や売却を依頼する前に、まずはあなた自身が家の相場を知っておくことが大切です。
自分自身で相場を調べることができる方法を2つ紹介します。この2つの方法は実際に取引された価格(成約価格)で表示されます。
【自分で相場を調べる2つの方法】
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一戸建ての価格は取引するタイミングなどで大きく変わります。この2つの方法で出た価格はあくまでも目安なので、参考程度に見ておくようにしましょう。
(3)プロに査定を任せる2つの方法
プロに査定を任せる方法としては、
- 不動産会社のポータルサイト
- 不動産一括査定
の2つの方法があります。どちらもプロによる査定なので、自分で調べた相場よりも現実に近い価格を知ることができます。
不動産のポータルサイトの一例を紹介します。これらは成約価格ではなく、売り出し価格で表示されます。つまり、売主の希望価格なので、実際に売れた時の価格ではないことを覚えておきましょう。
【不動産ポータルサイトの一例】 |
もう1つの方法は、不動産一括査定です。不動産一括査定とは、あなたの家の情報を入力するだけで、一度に複数の不動産会社に査定をしてもうことができるシステムです。
不動産一括査定サイトの一例を紹介します。下記の一括査定サイトはどれも一度に最大6社まで査定を依頼することができます。
【不動産一括査定サイトの一例】 |
また、プロに任せる査定には2つの種類があります。
机上査定 (簡易査定) |
限られた物件情報をもとに、近隣の取引事例などのデータと比較して算定される簡易的な査定。売却の初期段階で相場を知るために行う前準備。 |
訪問査定 (詳細査定) |
プロの目で直接土地の形状、接道状況、周辺環境、日当たり、家の傷み具合などをチェック。それと同時に登記簿やインフラ整備、物件に対する法規制などを調査し、さまざまな角度から詳細に行われる査定。売却に備え価格決定をするための重要な準備。 |
(4)一戸建ての適正な価格を知るベストな方法
一戸建てを売却する際、売り出し価格が適正価格より高ければ売りにくく、安ければ損をします。適正価格を知ることは売却を成功させるための第一歩と言えます。
一戸建ての適正価格を知るためには、「机上査定」と「訪問査定」の両方を利用する方法がベストです。
一戸建ては個別性により価格のつけ方が難しく価格にバラつきが出るため、一括査定をして価格を比較する必要があります。また、訪問査定をすることでより現実的な価格がわかり、スムーズな売却につながります。
【一戸建ての適正な価格を知るベストな方法】
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3.【一戸建て売却】流れと成功のコツ
一戸建ての売却はどのような流れで進めていくのか見ていきましょう。納得して売却するためのコツも紹介します。
(1)一戸建てを売却する流れ
一戸建ての売却の流れはこの図のようになります。
売却の流れは、一戸建てもマンションもほとんど変わりません。注目するポイントは、「行動の流れ」の1~11の工程の中で2~10の工程において不動産会社が関わっているという点です。売却には不動産会社選びが重要であることがわかります。
また、一戸建ての売却には税金や手数料などがかかることも考慮し、資金計画をしっかりと立てることが大切です。
※参考記事:「【マンション売却】行動と金銭の流れを押さえてベストな計画を!」
(2)【一戸建て売却】成功のコツは不動産会社選び
一戸建ての売却の成功は不動産会社にかかっています。そして、不動産会社を見極める唯一のタイミングは「一括査定」です。
担当者の対応やサービス内容などをしっかりと確認しておく必要があります。下記のようなポイントに注目して判断するといいでしょう。
【信頼できる不動産会社を選ぶポイント】
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詳細は下記の記事が参考になります。
※参考記事:「【マンション売却】行動と金銭の流れを押さえてベストな計画を!」
(3)買主にも信頼される不動産会社を選ぶ
一戸建て売却のゴールは、買主が見つかることですよね。そこで、視点を変えて「中古住宅を買おうとしている人がどんな理由で不動産会社を選ぶのか?」という買手側の意見を参考にするのもいいでしょう。
このグラフは、中古住宅の購入を検討している人が不動産会社を選ぶポイントを示しています。
(参考:国土交通省)
上位の理由は「保証がしっかりしていること」「アフターサービスの良さ」で、半数を超えています。買主に対しても充実したサービスを提供していれば売却に近づきます。
不動産会社が本気で「あなたの家を買ってもらいたい」と思っているか、そのために何をしてくれるかを見極めることが大切です。遠慮せず、担当者に確認しましょう。
4.【一戸建て売却】でよくある悩みは?
一戸建てを売却する多くの人が同じような悩みを抱えています。売却活動を始める前に一度考えておくことをおすすめします。
(1)住み替え予定で住宅ローンが残っているけど売却できる?
住み替えのため、ローンが残ったまま家を売却するケースもよくあります。その場合でも家を売却することはできますが、抵当権の問題があるためローンを完済する必要があります。
家を売却してもローンが残ってしまう場合は、
- 自己資金で不足分を支払う
- 住み替えローンを組む
のいずれかの方法で解決できます。
詳細は下記の記事が参考になります。
※参考記事:「【住み替えローン】残債がある方のローンの組み方と3つの注意点」
(2)買い替えの場合は売るのが先?買うのが先?
住み替えの場合、今の家を売却するのが先か次の家を買うのが先か悩む人も多いようです。売却と購入を同時に進めることもできるので、それぞれのメリット・デメリットを把握して自分に合ったタイミングで売却するようにしましょう。
詳細は下記の記事が参考になります。
※参考記事:「【住み替えローン】残債がある方のローンの組み方と3つの注意点」
(3)少しでも高く売る方法はあるの?
家を売却するなら少しでも高く売りたい、と考えるのはとても自然なことです。大きな価格アップにはならなくても、少しの工夫で家の評価をアップさせることはできます。
【少しでも高く売るための工夫】
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リフォームに関しては、最低限でやることをおすすめします。今の中古住宅市場では、リフォームをしていても評価されにくい傾向があります。また、費用をかけてリフォームして売却できても、リフォーム代の元が取れないこともあります。
中古住宅の場合はリフォームをする前提で購入を検討する買主も多いので、売主にとって余計な出費になりかねません。生活に直接関係する場所をメンテナンスする程度で十分でしょう。
詳細は下記の記事が参考になります。
※参考記事:「【住宅査定って?】査定の仕組みと事前に必ず知っておきたいこと」
5.おわりに
一戸建て売却の特徴や成功させるためのポイントについて紹介しましたが、参考になったでしょうか。
自分の家を売ることなど一生のうちにそうあることではありません。だからこそ、納得できる売却にしてほしいものです。この記事があなたの家の売却のお役に立てば幸いです。