住んでいるマンションを売りに出したいけど、さすがにだいぶ築年数も経っているし…買い手を見つけるのは厳しいだろうな。
そうお考えのあなたにぜひ知っていただきたいのがマンションの買取です。
マンションの買取とは、広告活動を一切行わずに不動産会社や買取会社などの業者自体に不動産を直接売却する方法です。
最大の特徴としては、買取会社が相手のため築年数が経った古い物件でも比較的簡単に売れます。また、現金での決定が可能で決済までの期間が短くなります。
一見とてもお得に感じる買取ですが、注意すべき点や押さえておくべきポイントがたくさんあります。今回はマンションの買取についてご紹介します。買取をご検討のかた、必見です!
目次
1.マンション買取のメリット・デメリット
まずは、マンションの買取にどのようなメリット・デメリットがあるかについてみていきましょう。
【メリット】
- 買取会社はリフォーム前提で買い取るため、古い物件でも比較的簡単に売れる
- 買取会社はリフォーム前提で買い取るため、「※瑕疵担保責任」が発生しにくい
- 買取会社が相手であるため現金での決済が可能、かつ、決済までの期間が短い
- 個人の買取人を探す必要がないため、広告などを通じて周囲に知られてしまうことがない
- 仲介手数料が発生しない
※瑕疵担保責任…販売後に判明した住宅の欠陥に対して、一定期間修復する義務が課される制度
【デメリット】
- 買取会社はリフォーム前提で買い取るため、おおよそリフォーム費用分低い金額になる(売却と比較すると60%程度の価格になる傾向がある)
2.なぜ買取は安くなるの?買取の売値が安くなる2つの理由
1章のデメリットでご紹介したように、買取はリフォームすることが前提となるため、売却と比較すると60%程度の価格になる傾向があります。
なぜそれ程安くなるかについて、詳しくみていきましょう。
ア.買取の目的は再販
買取をする不動産会社の目的は、また別の個人に売るということです。つまり「再販」するために不動産を買い取っているのだと言えます。買取会社は不動産がきちんと売れるよう、その不動産の価値を上げなければなりません。
そのため、買取した不動産は後で瑕疵が発生しないよう、徹底的なリフォームを行います。そのような大規模なリフォームは多額の費用がかかります。リフォームのための支出があっても利益が確保できるよう、買取の価格は低く抑えなければならないのです。
イ.買取の相場は売却の約60%
マンションの買取を検討する際には、自分のマンションの買取相場を知っておくことがひとつの指標となります。全体の相場は売却の約60%といったところですが、立地や環境、内装や設備の状態によっては大きく変動します。自分の所有する不動産の場合はどうなのか、ということを早めに知ることが重要です。
3.買取の種類
ここでは買取の種類について、ご説明していきます。買取には主に2つの種類があります。
買取保証制度を利用する方法
買取保証制度(不動産会社によっては買取保証サービスなどの名前になっています)とは、市場に売りに出して一定期間買い手が見つからなかった場合、不動産会社が事前に提示していた価格で買い取ることを約束しておく、というものです。
即時買取を利用する方法
即時買取とは、買取保証制度と異なり、市場に売りに出さず、不動産会社がすぐに買い取るという制度です。すぐに不動産を売却することが可能になりますが、買取保証制度を利用する場合に比べ価格が低くなる傾向があります。
買取にかかる諸経費
買取でマンションを売却した場合、次のようは費用がかかります。なお、買取の場合は「仲介手数料」がかかりません。
- 印紙代(契約書に添付する必要があります)
※印紙代の金額は国税庁のホームページで確認できます
No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置 - ローン抵当権抹消登記など
マンションを買取で売却するのであれば、不動産会社に任せきりにしてしまうのではなく。自分自身で不動産や売却の知識を身につけていきましょう。不動産のやり取りで得をする人と損をする人がいますが、その差は正しい判断ができたかどうかの違いにあります。正しい判断をするにはやはり知識が必要なのです。後悔しないためにも、ぜひ「自分で学ぶ」ということを大切にしていきたいですね。
【マンションを少しでも高く売りたい方におすすめの書籍】
『成功する中古マンション売却術』田中徹也 著 同文館出版
4.安心してマンションの買取を任せられる不動産会社の選び方
不動産会社にもいろいろありますが、安心かつ買取に強い不動産会社を選ぶには、どのようにすればいいのでしょうか。
以下の点をおさえている不動産会社を選ぶようにしてください。
- 問い合わせたことに対しスムーズに対応してくれる
- 時間や期限を守る
- 質問に対してわかりやすく、かつ正確な内容を伝えてくれる
- 曖昧な返答をしない
- メリットだけでなく、デメリットまで説明してくれる
- 前例なども含め、適切な情報を与えてくれる
- 結論を急がせない
- マンションの取引が多い不動産会社
- 買取してもらうマンションがある地域の不動産会社
- 口コミでの評価が高い不動産会社
口コミは必ずしも正しい評価に直結しない場合もありますが、なかには経験者が細かなレビューを登録していることもあります。また、たくさんの口コミを読むことで、誰もが言っている共通点などから正しい情報を得ることができる可能性もあります。口コミのすべてを信じるのは危険ですが、ある程度の参考にしてみてください。
不動産会社の口コミサイトを探す際に注意すること
気をつけなければいけないのは、「口コミ」は参考になるものの、「ランキング」は正しい情報である可能性が低いということです。利用者の実際の声が掲載されていない(具体性のない感想しか並んでいない)ランキングはサイト経営者の意向が強く反映されており、根拠のないものである可能性が高いと考えましょう。
5.マンションの買取が完了するまでの流れ
この章では実際に買取を希望してから取引が完了するまでの流れについてお伝えいたします。
1つずつ見ていきましょう。
①不動産の査定、買取価格の確認
まずは不動産会社に査定を依頼し、マンションにどの程度の価値があるのかを把握します。査定額はその不動産会社によって異なるため、複数の会社に依頼し、より有利な条件で買い取ってくれる不動産会社に決定しましょう。
複数の不動産会社に一括で査定を依頼できるサイトなどを利用することで、手間を省くことができます。不動産一括査定サイトには、次のようなサイトがあります。
②買取を依頼する不動産会社を決定
上記のような査定を行い、ある程度納得のいく価格を提示してきた不動産会社の中から、実際にマンションの買取を依頼する会社を決定します。なお、査定額の根拠(どうしてこの査定額になったのか)ということをきちんと説明できるかどうかなど、査定額以外の点でも「その不動産会社を信頼できるかどうか」をしっかりと考える必要があります。複数の不動産会社のスタッフと話をしてみると、そういった点でも比較がしやすくなるでしょう。
③売却する日程など、スケジュールの決定
マンションを売却する日程などを具体的に決定します。
④売買契約
最終的な売買契約を行います。売主はこの時点で手付金を受け取ることができます。
再度契約書を熟読し、不動産会社と自分たちで認識の違いがないか、不当に自分たちが不利な条件での契約になっていないかどうかを確認するようにしてください。口頭だけで言われていたようなことも、契約書になければ法的な効力はありません。
⑤決済、物件引き渡し
予定の日程で物件の引き渡しを行います。残代金を受け取るなどの決済は、一般的には銀行で実施され、最終的に「売買完了確認書」を取り交わしてすべての取引が完了します。
6.マンションの買取額を少しでも高くしたいなら
マンションの買取額は少しでも高くし、引っ越しや新居の購入の負担を減らしたいものです。そのためにはどうすればいいのでしょうか。
(1)市場価値を知る
まずは市場価格を知り、不動産会社の都合のいい買取額を鵜呑みにしてしまわないことが重要です。次のようなサイトを利用し、一般的な不動産の取引価格を確認しておきましょう。
(2)マンションの買取額を高くするポイント
マンションの買取額は、築年数、周辺の環境、駅からの距離、セキュリティーレベルなどで決定されますが、それ以外にも「使用状況」が影響することがあります。リフォーム前提での買取とはいえ、印象をよくしておくというのは大切なことです。
- 使用頻度の低い家具など、不要なものは捨てて家の中をすっきりさせておく
- 収納場所も整頓しておく(収納力も評価に繋がることがあるため)
- 掃除することで取れる汚れは落とし、清潔感を出しておく
こういった工夫もしてみてください。
7.おわりに
この記事では、マンションの売却方法として「買取」を中心にご説明してきました。不動産会社が仲介に入り個人に売る「売却」と比較しつつ、自分の不動産に合った方法を選びましょう。まだどんな方法がいいかわからない…という方は、まずマンションの価値を知ることから始めてもいいかもしれません。売却と買取に売値の差があることも踏まえながら、実際の売値に近い数字を把握してみてください。