「マンションを買った当時には満足していたのに、何年か暮らすうちにマンション暮らしに不満な点が増えてきてしまった。今は戸建てへの住み替えをしたいと思っている」といった方は多いものです。住居はストレスなく日々を過ごすためにとても重要なもの。可能であれば住み替えをしたいものですね。
ですが、住み替えるとしても今の家のローン残債がある、という方は少なくありません。
- どのような手順で進めればいのか
- はたして住み替えは可能なのか
わからないことがたくさんあるのではないでしょうか。
この記事を読むことで、
- 住み替えを検討するにはどんな手順がいいのか
- はたして今の状態で住み替えが可能か
- 貯金がないが大丈夫なのか
といった、住み替えに関する疑問を解決することができます。その結果、本当に住み替えを進めていいのかどうかを、冷静に判断することができるはずです。
やはり、生活が大変になるほどの借金を背負っての住み替えはお勧めできません。ご家族の将来のために、現実的にどうすればいいのかを考えてみてください。
目次
1.借金を増やさず住み替えできる?まずは査定で今のマンションの価値を知る
住み替える場合、資金的にベストだと考えられる方法は「今のマンションを高く売り、新しい戸建てを購入する資金をできるだけ多く用意する」というものです。もちろん貯金で資金不足を補うこともできますが、うまく貯金ができないこともあります。そんな場合でも、借金を増やさずに住み替えできるよう考えなくてはなりません。まずは「今のマンションがいくらで売却できるか」を調べてみましょう。どうすればマンションの売値を知ることができるでしょうか。
(1)同じマンションが売り出されている場合はよい参考になる
同じマンションが売り出されている場合には、その売値を参考にしましょう。不動産会社からのチラシや、インターネットなどで調べてみてください。不動産会社まで足を運べるようであれば、もっと詳しい情報を教えてもらうこともできます。
ただし、マンションは広さや間取り、何階の部屋であるのか、建物の中でもどの位置か、などによって価格が異なります。あくまでも「参考になる」ということですが、非常に近い金額を知ることはできるはずです。
(2)不動産一括査定を試してみよう
インターネットを利用して、マンションの査定を依頼することもできます。「不動産一括査定」という種類のサイトでは、売りたいマンションの情報を一度入力するだけで、複数の不動産会社に査定を依頼することが可能です。
【主な一括査定サイト】
◆スモーラ
※不動産一括査定については、こちらの記事をご確認ください。
2.「住みたい戸建て」を探してみよう
「マンション住まいをやめたい」「戸建てに対する憧れがある」といった気持ちから住み替えを希望しているけれど、まだ「この家に住みたい!」という一件は見つかっていない…という方もいるのではないでしょうか。
また、「この家が欲しい!」という具体的な希望があったとしても、その家について詳しく知るにつれ「やはり少し違うかもしれない…」と、希望とのずれがでてくるかもしれません。住み替えを急ぎたい場合には、ご自身の希望をはっきりさせておくことがとても重要です。「自分たちが住みたい戸建てとはどういった家なのか?」ということも含めて、希望の戸建てを探す方法を考えてみましょう。
(1)住みたい家はどんな家なのか書きだしてみる
まず、住みたい戸建てはどんな家なのでしょうか。現在のマンションへの不満な点なども含めて、ご家族でしっかり考えてみる必要があります。
現在のマンション暮らしでの不満や希望を書きだす
普段からさまざまな意見があるかもしれませんが、具体的に紙に書きだすなどすることにより、問題が明確になります。もしかするとそれはマンションには関係のない不満や希望かもしれません。あるいは、住み替えをしなくとも解決することかもしれません。
ステップ1の不満は戸建てなら解消するのか考えてみる
ステップ1の希望は戸建てなら叶うのか考えてみる
この時点で「戸建てに引っ越しても変化がない可能性がある」という場合には、もう少し時間をかけて考えたほうがよい可能性もあります。勢いだけで住み替えに踏み切ってしまうことがないよう、改めて考えてみましょう。
どんな戸建てであればステップ2の不満は解消し、希望が叶うのか考えてみる
ここで初めて「どんな戸建てがいいか」を具体的にしてみます。
たとえば、普段から「このくらいの広さがいい」などの意見はあるかもしれませんが、「なぜその広さが必要なのか?」まではつき詰めていないことが多いのでは。「過不足なくちょうどいい」について、しっかり考えてみましょう。
(2)インターネットや不動産会社で戸建てを探してみる
ある程度「住みたい家」についての考えが固まってきたら、インターネットや不動産会社で戸建てを探してみることにしましょう。すぐに利用できるインターネット検索は、積極的に活用したいものです。
【検索キーワード】
一戸建て 地名(○○市○○区など)
※ここに「新築」や「中古」などを加えて検索することも可能です
※最初からあまり狭い地域に限定して探すと、検索できる件数も限られてしまいます。少し広めの範囲で探してみましょう。
また、広い範囲を網羅しているサイトでは、サイト内で探す住宅の種類(新築/中古)や地域を絞ることも可能です。次のようなサイトを利用してみましょう。
◆SUUMO(スーモ)
「一戸建てを買う」から「新築」あるいは「中古」を選択
◆不動産情報サイト アットホーム
「買う」から「一戸建て」へ(新築一戸建て・分譲一戸建て/中古一戸建て)
◆スマイティ
「一戸建てを買う」から「新築」あるいは「中古」を選択
(3)無料住宅情報雑誌や折り込みチラシでは探せないの?
インターネット以外にも、スーパーマーケットや駅、本屋などに置かれている「無料住宅情報雑誌」や、ご自宅のポストに配られる「折り込みチラシ」なども不動産の情報を得ることは可能です。
ただし、インターネットに比べると、掲載されている情報に何かしらの変更があっても、すぐに知ることができないという欠点があります。よい物件であればすぐに売れてしまいますし、「売れてしまった」という事実は電話などで問い合わせをしなければわかりません。
「だいたいの相場を知りたい」といった場合にはとても便利ですが、ある程度物件を絞り込みたい場合には、あまり頼りになる情報とは言えないでしょう。それでももし無料住宅情報雑誌やチラシでよい物件を見つけた場合には、すぐに掲載されている問い合わせ先に電話してみてください。タイミングがよければ売れていない可能性もあります。とにかく急ぐことが重要です。
(4)情報は動く!「毎日検索」が大事
不動産の情報は毎日変動します。今日は望む情報がなくとも、明日には現れるかもしれません。少なくとも1日に1回、希望する物件がインターネット上に登場していないかどうか、検索して確認することが重要です。条件が良い物件であるほどあっという間に売れてしまいます。こまめにチェックするようにしましょう。
また、希望する地域の不動産会社を訪ね、希望に近い戸建てが売りに出されたらすぐに連絡してもらえるよう、お願いしておくのもよい方法です。ただし、不動産会社も一定のお客さんだけを特別扱いすることはできません。あくまでも「お願いしてやっていただくこと」であり、場合によってはうまく情報が入らない可能性があることも頭に入れておきましょう。
3.今のマンションの売値と、欲しい戸建ての価格を比較しよう
さて、「欲しい戸建て」が具体的になり、必要な資金もだいたいわかってきたら、実際にその資金を用意することができるのかを考える必要があります。「査定で調べたマンションの売値」と、「欲しい戸建て」の価格を比較してみましょう。はたしてこのまま住み替えに向けて話を進めていいのか、あるいはやめたほうがいいのかを判断することができます。
なお、インターネットだけで算出された査定額は目安のものとなります。きちんとした査定額を知るためには不動産会社による実際の査定が必要となりますので、注意してください。また、査定額=「売値」ではない点も考慮しましょう。あくまでも今後の動きを考える目安として捉えるようにしてください。
比較の結果…
◆マンションの査定額より欲しい戸建てのほうが安い場合
戸建てが中古住宅などの場合や、今のマンションより狭い場合、駅から離れるなどの場合は、上のようなケースもあり得ます。マンションを売ったお金で戸建てを購入できるので、さらに別の資金を都合する必要がありません。比較的スムーズに買い替え・住み替えが進みます。
◆マンションの査定額より欲しい戸建てのほうが高い
「いまよりも新しく、駅に近く便利で、広い戸建て」となると、これから購入する戸建てのほうが高くなってしまう可能性が高くなります。マンションを売ったお金だけでは戸建てを購入することができないので、別の資金を都合する必要が出てきます。その資金を貯金など、すでに用意してある別の資金で補うことができれば問題ありません。
ですが、そのような別の資金がない場合には、さらに大きな借金を抱えることになります。借金が増えれば、月々の返済額も増えることになり、生活レベルも変わるかもしれません。こういったこともよく考えて、住み替えの話を進めるべきかどうかご家族で話し合ってみてください。
4.ローンが完済できるか・できないかが、住み替えを進める重要な判断に
今のマンションにローンが残っている場合には、ローンを完済してからでなければマンションを売りに出すことはできません。ただし、「これからマンションを売るお金を使ってローンを完済する」ということであれば可能です。
住み替えをしたいと思う気持ちは大きくとも、家のために家族の生活が変わってしまうのは避けたいもの。住み替えを進めるべきかどうかは、今のローンを完済できるかどうかが非常に重要なカギとなります。まずは、ご自身が組んでいるローンの状況を調べてみましょう。
(1)ローン残債を調べる
ローンの残債は次のような方法で調べることが可能です。「いつの時点の残高なのか」ということも確認するようにしましょう。
- 年末残高証明書
年末にローンを組んでいる金融機関から郵送されてくる書類(封書か葉書)です。特に申し込みをする必要はありません。 - ローン残高証明書
ローンの残高を証明する書類で、金融機関に依頼する必要があります。発行に必要な費用は金融機関によって異なります。 - インターネットバンキング
ローン残高をPCやスマートフォンから確認することができる金融機関もあります。ただし、事前にインターネットバンキングの申し込みが必要です。利用方法はインターネットバンキングのサイトによって異なりますので、確認してみてください。
(2)ローン完済できないマンションは売ることができない
すでに触れたように、ローンの完済ができない場合はマンションを売ることができません。ただし、マンションの売却代金をローン返済に充てることにより、これが可能になります。
つまり、マンションの売却代金以外に資金を用意できない人は、「既に借りているローンを返済できるだけの売値」でマンションを売らなければなりません。
(3)ローンが完済できる場合とできない場合の違い
ローンが完済できる場合、できない場合により、資金調達の方法は異なります。
◆ローンが完済できる場合には
マンションの売却資金で(あるいは、これに貯金など別の資金を合算して)、ローンを完済できる場合、マンションを売り、そのお金が口座に振り込まれた直後に、銀行がローン残債を引き落とすことになります。
・マンションを売って、そのお金でローンを返済する
・その後、戸建てを購入して新しいローンを組む
◆ローンが完済できない場合には
マンションの売却資金でローンが完済できない場合には、新しい戸建てを購入できないということになります。しかし、次のような方法では、新しい戸建てを購入することが可能です。
・マンションのローンを返済しつつ、新しいローンを組む(ダブルローン)
・新しいローンに、以前のローンを組み込んだローンを組む(住み替えローン)
「住み替えローン」は「買い替えローン」と呼ぶ場合もあります。
※ダブルローンについては、こちらの記事をご一読ください。
※住み替えローンについては、こちらの記事をご一読ください。
ダブルローンは非常に負担が大きく、「以前からのローンを完済できない」という状況にある方におすすめできるものではありません。一方、住み替えローンはダブルローンよりも利用しやすいローンですが、やはり月々の支払いは増えることになります。シミュレーションなども利用して、今の生活が変わってしまうほどの借金にならないかどうか、きちんと確認することが必要です。
(4)ローンを完済できる?将来負うことになる借金について冷静に考える
住み替えることを目標にしていると、「ダブルローンや住み替えローンを組めば住み替えができる」と安心する人もいるかもしれません。しかし、既にご説明したように、これらのローンを組むことで借金は増えてしまいます。借金が増えても返済ができればいいのですが、いつか返済ができなくなってしまえば、せっかく手に入れた戸建ても手放さなければなりません。今後の収入の見込み、家族が生活する上で必要になる資金なども考えてみましょう。
つまり、「マンションを売却してもローンが完済できないかもしれない」となった場合には、住み替え自体をもう一度考え直す必要があるということです。住まいを充実させることは非常に重要ですが、住まいのために今の生活がなくなってしまうかもしれないということも、改めて考えてみてください。
おわりに
マンションから戸建てに住み替えたいと考える方々に、住み替えに必要な手順や考え方、検討すべき事柄などをご説明しました。今のマンションの不満を「住み替えればすべて解決する」と考えてしまっていないでしょうか?どうして住み替えをしたいのか、ということを冷静に考えれば、住み替え以外の解決方法も見つけ出せるかもしれません。住み替えには借金が増えるリスクもあることを十分に考え、冷静な判断を心がけましょう。