マンションの売却を考えている方にとっては、最もお得に売却できる時期=「売り時」に売りたいと考えるのが当然でしょう。
ですが、一体「売り時」とはいつなのか?を判断するのはとても難しいことですよね。
この記事では「季節」「マンション市況」「低金利時代」「オリンピック」「税金」「築年数」などの観点から、マンションの最適な売却時期を判断する手がかりをお伝えします。
ご一読いただければ、きっとあなたのマンションの「売り時」を見極めるきっかけを得られるはずです。
目次
1.今やマンションは季節に関係なく流通している
1年を通じてマンションを売却しやすい時期(季節)は特にありません。
賃貸の場合は、転勤・お子様の進学などに備えて1~3月に成約に至るケースが多いのですが、売買に関しては、年間を通じてインターネットなどで情報を集め、良いものが見つかり次第購入しようと考えるケースのほうが多いようです。
買い主さんの「家が欲しい」と思ったタイミングと、売り主さんの「家を売りたい」と思ったタイミングがうまく合うことが売却成功のカギとなります。
(参考:suumo)
2.社会情勢的に見て今は売り時?
売却に適した時期は、その時々の社会情勢や住宅ローン金利など、さまざまな要素から判断していくことが重要です。
(1)2016年度の中古マンション成約件数は過去最高
2016年度のすべての地域における中古マンションの成約件数・成約価格は上昇しています。
首都圏の中古マンションの成約件数は37,446件(前年度比6.7%増)で、2年連続で前年度を上回って過去最高となっており、中古マンション市場が好調であったことがうかがえます。
【2016年度の中古マンション成約件数(首都圏)】
(引用:公益財団法人東日本不動産流通機構)
また、2016年度の首都圏の中古マンションの成約件数37,446件に対して、首都圏の新築マンションの供給戸数は35,772件(不動産経済研究所公表)だったので、単純に2016年は、「新築マンションより中古マンションのほうが売れた」といえるでしょう。
2017年度の首都圏の新築マンションは、2016年度並みの供給戸数で価格はほぼ横ばいと見られています。
新築マンションの市場が落ち着くことで、中古マンションの市場も2016年度並みの市場になると予想されることから、2017年度の中古マンションをとりまく市況は悪くないといえるのではないでしょうか。
(参考:公益財団法人東日本不動産流通機構・suumoジャーナル)
(2)低金利時代の今は売り時なのか?
2016年に、日銀がデフレ脱却に向けて異例のマイナス金利政策を導入しました。その影響で住宅ローンの金利が引き下げられ、今こそマンション買い時であると多くの買い主が考えています。
さらに、銀行が住宅ローンの金利を決める指標となる長期金利が北朝鮮情勢の緊迫化などで低下したことから、大手銀行の中には、2017年5月より10年固定型の住宅ローンの金利を引き下げるところがあります。
皮肉なことに、朝鮮半島の緊張が高まっている間は、住宅ローンの金利が安くなり、買い主・売り主ともに有利な状況にあるともいえます。
とはいえ、一概に低金利時代だからマンションが売れやすいとも限らないので、社会情勢や各銀行の対応などに敏感にアンテナを張っておくことが重要です。
(3)首都圏のマンションはオリンピックまでに売るのが得策?
東京オリンピックが開催される2020年までマンション価格は上昇し、オリンピック後にはその価格が一気に下落するといわれている「2020年問題」をご存じでしょうか。
マンション価格が下がるとされる2020年までに、マンションを売却しておくことが賢明かもしれません。
オリンピックまでマンション価格が上がっていく要因には以下のようなものが考えられます。
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いっぽう、オリンピック後に価格が下がる要因としては以下のようなものが挙げられます。
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(参考:NIKKEI STYLE・スマイスター)
3.「売り時」には「税制」も関係する
マンション売却時には「税金」についても考慮が必要です。
マンションを売って利益が出た(譲渡所得があった)場合、所得税と住民税が課税されるのですが、「売却する時期」によって控除の特例があったり、税率が変わったりします。
(1)マイホーム特例
マイホーム(居住用財産)を売ったときは、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除ができる特例があります。
これを、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例(マイホーム特例)といいます。
つまり、自分が実際に住んでいた家・マンションの売却については利益が3,000万円までであれば税金は納めなくてもよいということになります。
ただし、住まなくなった日から3年目を迎えた年の年末までに売ることが適用の条件なので注意して下さい。
(参考:国税庁)
(2)譲渡所得税は所有期間によって税率が約半分に
土地や建物の譲渡所得に対する税金は、所有期間が5年を超える「長期譲渡所得」は税率20%、5年以下の「短期譲渡所得」は税率39%と、期間によって大幅に税率が変わります。
区分 | 所得税 | 住民税 | 計 |
長期譲渡所得 | 15% | 5% | 20% |
短期譲渡所得 | 30% | 9% | 39% |
※もちろんご自分が住んでいたマンションを売却する場合は、上記の「マイホーム特例」が適用されます。
(3)消費税増税延期は個人のマンション売り主にはあまり影響がない
2016年6月1日、安倍首相は記者会見において、2017年4月1日から予定されていた消費税10%への引き上げを2019年10月まで延期することを発表しました。
ですが、売主が個人の場合、マンション価格には消費税は課税されないので、影響は少ないといえるでしょう。
ただし、不動産会社に支払う仲介手数料や司法書士に支払う手数料などには消費税が課税されるので、増税前に売却するほうが多少の節約にはなります。
4.築6〜10年が売り時?
中古マンションは、築6~10年の物件に人気が集まります。10年を超えると、古いというイメージがつくためです。
ですが、10年を過ぎると大規模修繕をするマンションが多く、手入れの行き届いたマンションであれば、築10年以上経っていても売却価格を下げずに売れることも多いようです。
(参考:イエウール)
5.おわりに
マンションの売却時期を的確に判断するためには、上で述べてきたようにさまざまな要因を総合的に分析して判断する必要があります。
自ら情報を集めることも重要ですが、プロの不動産会社に査定を依頼し売り時を相談することも一つの手です。
査定の際は、複数の不動産会社に依頼して、その中からご自分に合った会社を選ぶことがお勧めです。
この記事が、最適な時期でのマンション売却の手助けになれば幸いです。